システムやルールは硬直したものではない。

山の木を見ながら木材の寸法を決めることや、住宅を部品化すること、間取りをシステムに倣うなどといったようにシステムやルールと聞くと、どうしてもガンジガラメの硬直したもののように思われてしまうところがあります。

しかし決してそんなことはなく、音楽が五線譜や音符というシステムの中で多様なものが出来上がっているように、設計もルールを守っても自由度は高く多様なものをつくることは可能です。→完成した家を見る

工房では一品生産のデザインで表現する代わりに、つくり方が表現になればいいと思っています。

真壁でつくります。

住宅を部品化するすることにより、将来、生活の変化に合わせて壁などは取り外したり変更が可能になるというものをライフサイクルデザインといいます。

傷んだ箇所があれば、そこだけを取り替えたり、家族構成も変わり、間取りも変更できるなど、住宅を長持ちさせることができます。さらに、取り壊すということになっても簡単に分解が可能で、部品は再利用できるなど、環境を配慮した住宅ができあがります。

これは昔の民家のつくり方である梁、柱が見える真壁づくりがもともと持っていた特徴です。

工房ではライフサイクルデザインを可能にするこの真壁でつくります。

山の人とつくる人と建てる人

山の木を見ながら家の寸法を決めることは、山の負担を減らし製材の効率化を図るというメリットだけではなく木を加工する工房にも都合のよいことです。

現在、建築の現場では毎年2万人程度大工が減少しており、熟練した技能をもった大工職の減少ということが起きています。
今後も山の木を使い家を建てていくには、未熟練の人でも木を扱えることが重要です。

そこで、工房では木材の規格化・標準化を行い、現場で組み立てるという部品化工法を用います。これは特別な技術を使わずローコストな無垢の木の家が出来上がります。部品化は家のつくりが整理され、設計と施工の合理化が図れるのです。さらにその寸法を共通化できれば他の部品も転用ができ無駄がありません。

工房では家の部品化された材を使うというシステムで労力の低減と工期の短縮を図れます。その分のコストは建主に還元されます。それは同時に山の人たちにも還元できます。この部品化によるデザインや性能あるいは価格は前もって判り、建主にとり都合のよいことなのです。

またこの造り方により、建主は簡単な図面を描くことで家の建設が可能になります。それは全部自力で造るセルフビルドや部分的に専門家にサポートしてもらうハーフビルドにも打ってつけということになります。→セルフビルドの家へ

このように真壁の家で標準化することにより、山側、つくる側、建てる側が持ちつ持たれつの気持ちのよい関係が築けます。

山の木を見ながら家のつくり方を決めました。

木造住宅の設計は山のことも考えなくてはいけません。山では杉の木が不良ストックになろうとしています。山は緊急事態です。山が疲弊すれば人も疲弊します。そのためにも家は木で造るべきでしょう。

しかし山で採れた木は家の寸法が決まらなければ製材できません。
そこで、明確に家のつくり方が決められていなければ、山の木の寸法を指定できずに山では伐採できないことになります。これを曖昧にすれば、木の無駄と労力の無駄が生じてしまいます。それは環境へ負荷をかけることになります。モッタイナイ、これは日本が本来持っていた心です。

これは山の木から「町の家をどうつくるのか」と、問われているのです。
そのため工房では山へ行き、木のことを考えて標準化を行いました。家に使う木材の寸法を決めています。決してこの標準化は個性の尊重を失うものではありません。その場所に生えている木はニつとない個性的なものですからそれはありえません。

そのために工房は山の寸法と町の寸法を調整することになります。山の寸法と町の寸法を合わせることで気持ちのよい家が生まれます。この寸法により山と町の時間も融合させ環境を考えた生活が実現できるでしょう。
「住宅は個人のものですが
         
個人のモノではありません」

確かにお金を払えばたいていのものは自分のものになります。しかし、住宅はそれらと違って土地に定着し環境をつくります。そのために「個人のものではありませんが個人のモノなのです」。

環境として無彩色な住宅に色を染めるのが、建主である生活者です。そこで初めて住宅は住まいになり個人のものになります。

禅問答のようですが家が町並みをつくり、その町並みは行きかう人に快適さを与えます。そのために家は 個人のものですがみんなのモノなのです。
     (家づくり名人。/住宅建築家81ー建築資料研究社より抜粋)
  こう考えています。

先人が造った日本家屋は未来の家を暗示しているようです。

それは自然環境をうまく活かし地球上に二つとないその場所の微気候を考えていることです。これから造る皆さんの家も世界に一つしかない土地に定着するわけですから地球上にかつてない家になることは間違いなさそうです。

その特性を高めるために工房の木の家は柱と梁で成り立つ架構で造ります。この空間は人と自然の環境を無理なく繋げます。幸いにも日本の山には先人が残してくれた大量の杉があります。それは通直で加工がしやすい材料です。このため工房の家はこの山の木を見据えて造ります。

生活を考える間取りは住まい手と造り手を結ぶ3尺の畳のグリッドで考えます。
それは住みやすさと造り易さを共有します。これで構成される低コストの家が群となれば個性豊かで美しい町の風景が生まれるからです。これも先人の知恵に学んでいます。